高校 政経に役立つニュース解説

日々のニュースの中から、高校政経に役立ちそうなテーマを選び、分かりやすく解説します。これを読んで自分の意見が持てるようになりましょう。

自由貿易と保護貿易

トランプ次期大統領が、トヨタを名指ししてメキシコに工場を建設するなら高額の関税をかけるとツイートしました。


トランプ氏はアメリカ国民の雇用を創出することを宣言しています。このため、工場を建設するならメキシコではなくアメリカでやれ、ということです。


アメリカ次期大統領の口先介入ならぬ指先介入ですね。


しかしこれは、明らかに自由貿易の原則に違反します。


第二次世界大戦の原因の一つは、資本主義列強によるブロック経済にあります。これが世界貿易の停滞を招き、結果として対外膨張へと向かったことにあります。


そこで戦後、自由貿易をめざし、自由、無差別、多角主義を理念としてGATTが設立されました。


さらに1995年にWTOが設立されると経済のグローバル化が一気に進み、貿易、直接投資、金融の相互依存と一体化が強まりました。


この動きを主導してきたのは、紛れもなくアメリカです。


トランプ氏はこの流れを大きく転換させることを意図しているようです。


グローバリズムがかえって南北問題を深刻化させていることも事実です。しかし、保護貿易が世界大戦を引き起こしたという事実を無視することはできません。


そもそもアメリカが保護主義に走れば、一時的に雇用が創出され、貿易収支が改善したとしても、アメリカ経済にとって長期的にプラスになるとは思えません。


トランプ氏には、第二次世界大戦直後の理念に立ち返って、大国らしい振る舞いをして欲しいと思います。