高校 政経に役立つニュース解説

日々のニュースの中から、高校政経に役立ちそうなテーマを選び、分かりやすく解説します。これを読んで自分の意見が持てるようになりましょう。

働き方改革

臨時国会が始まりました。今国会は重要法案が山積みです。 


中でも注目なのが、働き方改革です。特に働くお母さんたちにとっては、長時間労働の制限は朗報だと思います。


働くお母さんたちにとっての悩みは、育児との両立です。都会では

保育所に入れることもままならず、

やむなく正社員を辞める人は多いです。


非正規として働けば自由はききますが、低賃金で不安定になってしまうため消費を抑えて貯蓄に励むことになってします。


これでは、GDPの4割を占める個人消費が伸びるわけがありません。


そこで働き方改革です。


最も重要なのは、長時間労働の制限だと思います。


出産を契機に正社員を辞めざるを得ないのは、正社員には当然のように長時間労働が求められるからです。


男女雇用機会均等法の施行に伴って、女子の残業制限と深夜労働が解禁されました(ただしこの内容は労働基準法改正によります)。


女性が男性並みに働くことを要求されたのです。


男社会に入れてやるのだから、女が男に合わせろ、という理屈ですね。


しかし、男性は本当に長時間労働がしたいのでしょうか?


堀江貴文さんが主張されているように、黙って低賃金長時間労働に甘んじる人が多いからブラック企業がはびこるのです。


夫婦共に長時間労働から解放されて夫も育児に協力できれば、子育ては随分楽になるのではないでしょうか?


保育士不足の問題解決には外国人労働者の受け入れが検討されているようですが、この件についてはまたの機会にします。



















日銀黒田総裁の意図は?

日銀が新しい金融政策を発表しました。しかし内容はわかりにくいものです。


要点は、政策の目標を量から金利に転換するというものです。


具体的には、マイナス金利政策は維持する。つまり日銀当座預金のきんりは0.1%のまま据え置くということですね。市中銀行からは大変評判の悪い政策です。


日銀に預金しておくだけで儲かったのに、それができなくなったからです。


もう一つは、長期金利(十年国債金利)はゼロ%に誘導するというものです。


それって上げるの?下げるの?


上げるんです。今は長期金利もマイナスですがそれを0に引き上げるってことですね。


ということは、金融引き締め?


そうなります。一方で日銀当座預金金利はマイナスにし(これは金融緩和)、長期金利は引き締めるという、正反対の政策を同時に行うということなんですね。


果たしてそんなことがうまくいくのか?


市場の反応は、円高です。


背景にはアメリカの中央銀行FRBがまたも金利引き上げを見送ったこともあります。


上げてくれれば金利の高いドルを買う動きが出て円安になったんでしょうけど。


海外のメディアでは、過去に例を見ない政策という評価です。


果たして黒田総裁の思惑通りに、物価上昇率2%が達成できるのか?


黒田総裁が求める、政府の構造改革の実現も鍵になります。


今後の動静に注目です。



働き方改革、損か得か

日本の長時間労働は長年の課題でした。例えばドイツと比べると、日本人は年間ドイツ人の2倍働いています。働き中毒なんて言われたこともありました。


さらに近頃はブラック企業などというものが現れて、労働者を苦しめています。ブラック企業とは、残業代を払わない、無理なノルマを課して精神的に追い詰める、辞めさせない、などで労働者を死に至らせることさえある恐ろしい企業です


そこで政府は、ワークライフバランスというスローガンを掲げて、労働者の長時間労働の是正に乗り出しました。


今回注目されているのは、裁量労働制です。


裁量労働制とは、実労働時間ではなくあらかじめ定めた「みなし労働時間」に対して賃金を支払う制度です。いくら残業しても賃金は増えないわけですから、早く仕事を終わらせて、プライベートを充実させることができるというわけです。


現在は、弁護士やコンサルタントなど特殊な職業だけに適用されていますが、この先範囲を増やしていく予定です。


実はこの裁量労働制、経営者側の方が積極的なのです。残業が減らせれば、人件費の削減になるからですね。


一方労働者側は、反対意見が多いようです。かえって残業が増えるというのです。でも残業手当がなくなることの方が切実かもしれません。


プライベートを犠牲にしてお金を稼ぐのか、少々給料が減っても人生を楽しむのか。


働き方を変えることは、生き方を変えることですね。真剣に考えましよう。



日銀マイナス金利さらに深掘りも

日銀はマイナス金利をさらに引き下げる方針です。


マイナス金利とは、一般の市中銀行が日銀に資金を預けたときにつく金利をマイナスにして、預けておくとかえって減るようにする仕組みです。


市中銀行は、長く続いた金融緩和政策でだぶついた資金を日銀に預けて利子を得ることで楽に利益を得ていました。


そこで日銀の黒田総裁は、漫然と日銀に預けておいたら目減りするマイナス金利に踏み切ったのです。


狙いは何でしょう。


日銀に預けておくと資金が減るわけだから、市中銀行はいやいやでも利子を得るために民間企業に貸し出しをするだろう、というわけです。


楽して儲けられなくなった市中銀行は反発します。しかし日銀は方針を変えないと宣言したわけです。


日銀はこれまで、2%の物価上昇を目指して徹底した公開市場操作の買いオペを展開してきました。


買いオペとは、日銀が市中銀行から国債などを買い上げ、代金として資金を供給する金融政策です。


すでに市中に出回っている国債の4割を日銀が買い上げたとされ、買いオペはすでに限界に達しているのではないかとも言われています。(これって財政法で禁止されてる日銀引き受けなのでは?という疑いも)


そこで打ち出したのがマイナス金利です。資金を供給するだけでなく、貸し出すように市中銀行を追い詰める作戦ですね。


果たして効果はいかに?


市中銀行の収益が悪化しているのは確かです。肝心の貸し出しはどうでしょう?


この夏、みずほ銀行ソフトバンクに1兆円を融資したと報じられました。メガバンクとはいえ巨額の融資です。


これは効果の表れのひとつかもしれません。もう少し見守りたいと思います。






国連は役立たずか?

北朝鮮が新たな核実験を強行する兆しがあると、韓国が発表しました。アメリカの核の脅威に対抗するためだとか。もうきりがないですね。


日本は国連安全保障理事会に対して、さらなる制裁強化を要請したそうですが、前回書いたように五大国の中国が乗り気でないので効果は期待できません。


そもそも国連ってこういう国際紛争の解決に役立ってきたんでしょうか。


国際安全保障の中心となるのは安全保障理事会です。国際連盟第二次世界大戦を防ぐことができなかったことを反省し、国連は侵略国に対して経済制裁だけでなく武力制裁もできるようになりました。


しかし現実には、五大国の拒否権発動で麻痺状態のまま、正式な国連軍はいまだ編成されたことはありません。(朝鮮戦争で派遣された朝鮮国連軍は、正規の手続きを踏んでいないので厳密には国連軍ではありません。)


代わりにPKOという中途半端なもの(国連憲章の6章半と呼ばれます)を派遣していますが、条件は停戦合意が成っていることなので、現に戦闘や虐殺が行われている時は手が出せません。


一度ソマリアの内戦中にPKOが入りましたが、多くの死傷者を出して大失敗に終わりました。


さらに全世界で問題になっているテロに対して、正規軍が無力であることははっきりしています。国連はあくまで国単位で対応するからです。


そもそも、何を根拠に北朝鮮を制裁するのでしょう?


核拡散防止条約(NPT)違反ですか?


北朝鮮はとっくの昔にNPTの脱退を宣言しています。だから国際法違反には当たりません。


国際司法裁判所核兵器の使用を違法とする見解を出していますが、法的拘束力はありません。


あったとしても、五大国の一つ中国が率先して仲裁裁判所の判決を無視しているのですからお手上げです。


今重要なのは国連を盲目的に賛美することよりも、その限界を認識することでしょう。









アメリカ、忍耐政策に限界

北朝鮮が5回目の核実験を強行しました。実に5回のうち4回はオバマ政権下で行われたことになります。


オバマ政権は北朝鮮に対し、非核化に動くまで瀬戸際外交に応じない「戦略的忍耐」政策を掲げていますが、全く効果がないどころか逆効果と言わざるを得ません。


北朝鮮の核開発に対しては、国連安全保障理事会も制裁を行ってきました。しかし北朝鮮と関係の深い中国が制裁に消極的なために、十分な効果は出ていません。


中国は北朝鮮体制崩壊による難民流入や、韓国との統一によって米国の同盟国と国境を接することを恐れています。


だから中国は、形の上で国連の対北朝鮮制裁強化に賛成しても、実際には逃げ道つきの制裁しかしていません。北朝鮮は中国の足元を見ているのです。


オバマ大統領は任期切れが近く、政策転換は難しいのが現状です。北朝鮮は、来年1月に新しい政権が発足するまでに出来る限り核武装を進め、「核保有国」として新政権との交渉を有利に進めようとしています。


核を持たなかったイラクフセイン政権はアメリカによって倒されました。北朝鮮が核を持つことによって現体制の維持に成功するのならば、核を持ったもの勝ちということになってしまいます。


核拡散防止条約(NPT)の形骸化がさらに進むことは避けられません。

原発って、どうすればいいの?

三田園鹿児島県知事が、再稼働したばかりの川内原発に即時停止を申し入れました。現在日本で稼働中の原発は、この川内原発2基と、昨日営業稼動を始めた愛媛県伊方原発1基です。


原発がこれほど批判されるのは、言うまでもなく東日本大震災による福島第一原発の事故が原因です。同じような大地震川内原発伊方原発にも起こる可能性があるからです。


ここで確認しておくと、福島第一原発の事故は地震によるものではなく、津波で地下にあった電源が水に浸かって止まり、原子炉が冷却できなくなったのが原因です。だから、すぐ近くにあった女川原発は、電源を高い所に設置地してあったため、水には浸からず事故は起きていません。


地震で壊れたんじゃなくて、水に浸かったせいなんですね。ここのところがあまり広く(特にマスコミ)認識されていないようです。


日本は環太平洋造山帯の上にある国なので、いつ、どこで大地震が起こってもおかしくおりません。


過去の事故を教訓にするのは大切ですが、羹に懲りて膾を吹く、というのも問題です。


前にも書きましたが、地球温暖化を防ぐパリ議定書に日本が参加するには、原発再稼働が欠かせません。


また、福井県の高浜原発が大津地裁の仮処分で停止したため、関西電力は電気料金の値下げを撤回しました。


原発には悪い点もありますが、二酸化炭素を出さない、安い電力の安定的供給など、良い点もあります。


何事も100%安全ということはありえません。情報をきちんと公開し、万が一の備えを十分にすることの方が建設的とも言えます。


ちなみに、原発を管理するのは原子力規制委員会で、知事に原発を停止する権限はありません。